11月の別名「モーベンバー(Movember)」をご存知ですか?これは、11月を通して男性が口ひげを生やすことを奨励する国際的な運動で、男性の健康、特に前立腺がんや精巣がん、メンタルヘルスや自殺予防に関する対話を促し、注意を喚起することを目的としています。そこで今日は、美術史に名を残す見事な口ひげ、ディエゴ・ベラスケスが描いたフアン・デ・パレーハの口ひげを紹介します。
ベラスケスは1649年から1651年にかけて、パレーハを伴ってイタリアを旅します。パレーハは、スペイン南部生まれのアフリカ系の人物で、少なくとも20年にわたって画家の居宅と工房で奴隷として働いていました。ベラスケスがこの肖像画の傑作を描いたのはローマ。優雅な装い、自信に満ちたポーズ、私たちを真っすぐ見つめる見事な口ひげの上の双眸。そこには、パレーハの並外れた存在感が表れています。初期の伝記作家によると、この肖像は実際の人物と瓜二つで、パレーハ自身を脇に立たせてこの絵が展示された際、観衆は画家の鮮やかな腕前に驚嘆としたといいます。この絵にまつわる物語は、その後に起こったことを踏まえれば、更に重要な意味を持ちます。数ヶ月後、ベラスケスはパレーハに自由を与える文書に署名し、その効力は1654年に有効になりました。後にパレーハは、マドリッドで独立した画家としての地位を確立しました。