アダムの創造 by  Michelangelo - 1508–1512年頃 - 280 × 570 cm アダムの創造 by  Michelangelo - 1508–1512年頃 - 280 × 570 cm

アダムの創造

フレスコ • 280 × 570 cm
  • Michelangelo - March 6, 1475 - February 18, 1564 Michelangelo 1508–1512年頃

1564年の今日、盛期ルネサンスのイタリアの彫刻家、画家、建築家、詩人のミケランジェロ・ブオナローティが88歳でこの世を去りました。今日紹介するのは、これしかありませんね。 

『アダムの創造』は、おそらく美術史上で最も有名なフレスコ画でしょう。神がアダム(最初の人類)に生命を吹き込む場面が描かれたこの絵は、創世記のエピソードを題材とした連作の4番目にあたる作品で、システィーナ礼拝堂を飾る、より広範な主題を扱った天井画の一部です。 

1505年に教皇ユリウス2世に招かれてローマにやって来たミケランジェロは、40体の彫像を従えた教皇の墓を5年以内に完成させるというプロジェクトを任されます。しかし、教皇からの他の注文によって度々中断を余儀なくされ、墓の完成までには40年を要しました。 その間、ミケランジェロはシスティーナ礼拝堂の天井画を手掛け、4年で完成させます。当初は、天井のペンデンティブ(訳注:天井のドームと、それを支える4つのアーチの間の空間)に十二使徒を描き、そこに装飾的要素を加える予定でした。しかし、ミケランジェロはユリウス2世を説得して、より複雑な構想に転換。それは、天地創造、人間の堕落、預言者による救済の約束、キリストの系図などを網羅するもので、総面積は500㎡以上、300人以上の人物が登場する一大絵巻でした。

『アダムの創造』の神は、流麗なマントをまとい、髭をたくわえた老人の姿で描かれており、鏡像のように対称をなすポーズをとるアダムに生命を与えようと手を伸ばしています。この場面は、中世の賛美歌「来たり給え、創造主なる聖霊よ」から着想を得たと思われ、言葉のの神聖なる起源を強調しています。僅かな隙間を残して、今にも触れ合いそうな神とアダムの指は、人間にとっては捉えがたい神の完全性を象徴しています。

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P.P.S. ミケランジェロの『最後の審判』について知っておくべきすべてのことはこちら!完成した時に、なぜ大きなスキャンダルを巻き起こしたのか?

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