この絵はおそらく、チャールズ・ダーウィンとフレデリック・エドウィン・チャーチの作品から影響を受けたものでしょう。1860年代、ヒードは熱帯地方を背景としてブラジルのハチドリを描いた豪華本を出版する計画を立て、最終的には「ブラジルの宝石」と呼ばれる40枚の小さな絵画のシリーズを描きあげました。計画は途中で断念されたものの、ヒードはハチドリに関心を持ち続け、蘭やジャングルの背景との組み合わせで1870年代にかけて描き続けました。ヒードは、自然が生み出した秘密の花園の、エキゾチックな奥底に向けての親しみを込めた眼差しを鑑賞者に提示しています。地衣類は枯れた枝を覆い、苔の露は木々から滴り落ち、青みがかった灰色の霧が遠くのジャングル全体に広がっています。黄緑色の茎と鞘のある、絢爛たるピンク色の蘭の花(カトレア)が、左側前景を占めています。右側の、巣の近くで枝に止まっているのは、緑色の体に黄色い喉、眩いほどの赤い尾羽根を持ったアカフタオハチドリと、緑とピンク色をした2羽のノドムラサキシロメジリハチドリです。ヒードはアメリカ生まれの画家。熱帯地方には何度も赴き、鳥や花を描き続けました。主要作にはフロリダの風景と花が、特にベルベットの布の上に横たわる木蓮がよく描かれています。彼が亡くなったのは1904年のこと。最も有名な作品は、ニュー・イングランドの塩沼に降り注ぐ光と影を描いたものです。
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