旧約聖書の一場面、「アブラハムの生贄」をまずご紹介しましょう。アブラハムを試すために、主は彼の息子のイサクを生贄にするようお命じになりました。しかし、最後の瞬間、天使が彼の手を止めました。天使は左手でイサクを、右手で天を指し示し、イサクを救うのは神の手であることを明らかにしました。絵の前景には、イサクの服装であるターバンと剣の鞘が見えますね。左の茂みにはイサクの代わりに生贄となる牡羊が描かれていて、彼の厳しい信仰がよくわかります。
このシーンはグレーの濃淡で描かれていて、こうした絵は「グリザイユ」と呼ばれています。アムステルダムのピーテル・ラストマンに半年間師事していたレンブラントもこの話を何度か描いていました。ラストマンは、レンブラントや他の画家の作品に多大な影響を与えました。