愛の城への襲撃を題材とした鏡入れ by Unknown Artist - 1320-40年頃 - 直径14.1 x 1.2 cm 愛の城への襲撃を題材とした鏡入れ by Unknown Artist - 1320-40年頃 - 直径14.1 x 1.2 cm

愛の城への襲撃を題材とした鏡入れ

象牙 • 直径14.1 x 1.2 cm
  • Unknown Artist Unknown Artist 1320-40年頃

この彫刻のほどこされた象牙の鏡入れは、中世によく見られる寓意である「愛の城への襲撃 (包囲攻撃)」を描いたものです。絵の中で、騎士たちは城を襲撃しようとしています。普通、中世の戦争では、城の中にいる人々はこういった侵略者たちを撃退しようとするものです。しかし、ここではそのようなことは行われません。これは愛であって――戦争ではないのですから。

その代わり、城にたくさんいるのは、花を投げて騎士たちを熱烈に歓迎する女性たちです。二人の女性などは門を上げ、挨拶をしながら外に出てきています。騎士たちは、女性たちが言い寄って来るのを受け入れるつもりのようです。一部の者は自分の馬を捨て、上の方にいる女性を口説こうと城を登ってしまっています。城のてっぺんには、この奇妙な出来事を引き起こした人物がいます。キューピッドが、下の方にいる人々に向かって愛の矢を放とうとしているのです。

これに込められた意味はいくつか考えられます。一つは、愛によって人は馬鹿げた行動をするということ。もう一つは、誰かの心を勝ち取るために戦う必要があるということ。どちらにせよ、目に焼き付くような光景です。中世芸術にはよく見られたものであり、ときにはエンターテインメントとして演じられることもありました。こういった装飾付きの入れ物も、中世の時代には人気でした。当時の時代における、デザイナーが作ったiPhoneケースのようなものだと考えてもいいでしょう。

- Alexandra Kiely