モワテシエ夫人 by Jean-Auguste-Dominique Ingres - 1851年 - 100 x 147 cm モワテシエ夫人 by Jean-Auguste-Dominique Ingres - 1851年 - 100 x 147 cm

モワテシエ夫人

油彩 キャンバス • 100 x 147 cm
  • Jean-Auguste-Dominique Ingres - August 29, 1780 - January 14, 1867 Jean-Auguste-Dominique Ingres 1851年

1780年の今日、ジャン=オーギュスト=ドミニュク・アングルが生まれました。(彼は私が大好きな画家の一人です。)アングルはダヴィッドの弟子で、師の新古典主義美学を長い画家生活の中で広めて成功を果たしました。アングルは色彩や古代の彫刻の研究よりもデッサンを重んじ、生きたモデルによる描写の価値や、形を明確にするための完璧な線描という信念を大切にしました。まさに、アングルは絵画芸術の中の肖像画という一角においての巨人でした。写真技術が普及し始めた当時、今でこそ彼は最後の肖像画巨匠とも呼ばれていますが、彼は肖像画を描くことを好みませんでした。

深紅のダマスク模様を背景に上半身が描かれているのはモワテシエ夫人です。彼女は裕福な政治家の娘で、レース商人の妻でした。彼女が身につけているのは黒いベルベットのイブニングドレスです。胸元の白いレース帯が黒いレースの肩掛けで覆われています。黒い衣装と白い肌が光り輝く宝石を際立たせています。この絵の表面は非常に滑らかに仕上げられていて、筆の跡はほとんどわかりません。

アングルはモワテシエ夫人の姿をシンプルに描いていていますが、それはギリシャ・ローマ風絵画を思わせます。髪型や薔薇で作られた装飾的な後光が、彼女の美しい卵型で均整が取れた顔形を強調しています。胴体部分はやや平坦で、図と地の関係が線と形の効果にあることを強調しています。アングルは、女性の体のラインの曲線美がもつ可能性を生かして、モワテシエ夫人の姿を究極の美へと昇華させています。