カジミエシュ・ドルニからの眺め

アニエラ・クキエロブナは、ワルシャワを拠点に活躍したグラフィック・アーティスト、イラストレータですが、主に木版画の画家として知られています。彼女が好んで採り上げた主題は街の景観。今日は、1932年に制作された『カジミエシュ・ドルニからの眺め』という作品を紹介します。

20世紀前半、カジミエシュは芸術家が集う町でした。その美しい景観は多くの芸術家を引き寄せ、著名な画家やイラストレータに加えて、画学生や日曜画家も参加して屋外で開かれた写生大会は人気を博し、歴史にその名を残しています。クキエロブナは、カジミエシュを定期的に訪れ、芸術家たちの共同体と交流を深めました。彼女は多くの風景画を制作し、1938年にはワルシャワで開催された芸術宣伝協会主催の展覧会に出品。今でもクキエロブナ作品の特徴とされている、建築物の描写とコントラストの強い色遣いは、観る者の記憶にいつまでも残り、展覧会の後援者の称賛を浴びました。

クキエロブナを始めとする戦前のユダヤ人画家の作品は、Delet portalで見ることができます。

P.S. 街の風景画はいいですね！パリの美しい街並みを描いた作品をこちらからご覧ください。