解体されるために最後の停泊地に曳かれて行く戦艦テメレール号 by Joseph Mallord William Turner - 1839年 - 91 cm x 1.22 m 解体されるために最後の停泊地に曳かれて行く戦艦テメレール号 by Joseph Mallord William Turner - 1839年 - 91 cm x 1.22 m

解体されるために最後の停泊地に曳かれて行く戦艦テメレール号

油彩 キャンバス • 91 cm x 1.22 m
  • Joseph Mallord William Turner - 1775 - December 19, 1851 Joseph Mallord William Turner 1839年

98の大砲を装備した戦艦テメレール号は1805年のトラファルガーの戦いで大きな役割を果たしました。当時のホレ−ショ・ネルソン子爵は最強で、最終的にはナポレオンのフランス・スペイン連合軍の脅威を終了させました。しかし不幸にも、ネルソンはこの戦いで命を落とします。フランスの海軍士官ピエール・ヴィルヌーブは虜囚の地イギリスから彼の葬儀に参列しました。

この絵はテメレール号が、1838年に外輪船によって最後の停泊地ロンドン南西ロザーハイズの解体作業場に曳かれていくシーンを描いています。この絵を描いた頃はターナーにとっても最盛期、王立アカデミーには40年連続で出品し続けていました。実際の牽引作業を見たわけではありませんが、彼はこの絵に象徴的な意味を込めました。威厳に満ちた古い戦艦が薄汚れたタグボードによって汚いドックへと曳かれていく。産業革命の時代、帆船が時代遅れなものとして最新鋭の蒸気船に取って代わられたように。栄枯盛衰がこの絵のテーマですが、同時にこの船は画家本人の姿でもあります。栄光に満ちた過去と、来るべき死へと思いをはせる現在。

この絵は1851年に作者によって寄贈されて以来、ロンドンの国立美術館に展示されています。2005年にはイギリスの「一番好きな絵」にも選ばれました。また、『007シリーズ』の『スカイフォール』ではジェームズ・ボンドの背景に使われ、世代交代のシンボルの役目を果たしました。

クリントン

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