父のヤン・トーロップから絵の手ほどきを受けたシャーリー・トーロップ。当初はキュビズムと表現主義に傾倒していましたが、1930年代初頭には独自の画風を確立。それは、くっきりとした輪郭と、表現豊かな色遣いを特徴とする力強い写実絵画でした。
1947年以降は、毎年春には花咲く果樹を、秋にはリンゴや梨が実った樹を描くことで、四季や生命のサイクルを記録に残そうとしました。『花咲くリンゴの老木』の制作は1949年。この頃、二度目の脳卒中に襲われたシャーリーは麻痺が残り、会話が困難になりました。それでも彼女は、不屈の努力で創作活動を続けたのです。
シャーリーは皿や水差し、瓶や木靴と共に樹を描いた静物画の連作も制作していますが、そこに描かれているのは角張って、厳格な形状の静物。一方で本作には、非常に詩的で表現主義的な雰囲気があります。彼女は、敬愛するフィンセント・ファン・ゴッホが描いた花咲く樹々にインスピレーションを得たようです。
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今日の作品は、クレラー・ミュラー美術館の協力で紹介しました。
P.S. 絵画に描かれた最も美しい花の静物画10点をこちらからご覧ください。