荒野の洗礼者ヨハネ by ミケランジェロ・メリージ カラヴァッジョ - 1604年頃 - 172.72 x 132.08 cm 荒野の洗礼者ヨハネ by ミケランジェロ・メリージ カラヴァッジョ - 1604年頃 - 172.72 x 132.08 cm

荒野の洗礼者ヨハネ

油彩 キャンバス • 172.72 x 132.08 cm
  • ミケランジェロ・メリージ カラヴァッジョ - 1571年9月29日 - 1610年6月(?)18日 ミケランジェロ・メリージ カラヴァッジョ 1604年頃

カラヴァッジョはそれまでのバロック絵画の様式やディテールから劇的な離脱を遂げて、当時の芸術界をひっくり返しました。彼はカトリック教会がプロテスタント信仰を支持する人々の復帰を望んでいた、カトリック宗教改革の頃に活躍した画家です。彼は人々が見たがっていた心を揺さぶるような絵画を新しく生み出しました。支援者の多くは枢機卿やローマの有力者たちでしたが彼らもカラヴァッジョのドラマティックな作品を喜び、もっと挑戦を続けるように励ましました。 

『荒野の洗礼者ヨハネ』は彼の傑作の一つです。カラヴァッジョは他の画家たちのスタイルを打ち砕き、彼以降の画家たちに影響を与えました。思慮深げな若き聖者。非常にリアルに描かれています。彼が描いたのは後光を背負った汚れなき天使ではありません。まさに我々のような人間です。ドラマティックな光線の使い方は彼の作品の特徴で、ヨハネの瞳は暗く翳り何を見つめているのか言い当てることは容易ではありません。見事な緋色のケープに身を包み、木の棒を手にしたヨハネ。でも、ちょっと待ってください、これはただの木の棒切れではありません。近づいてよく見ると、小さな木片が絵のこちら側から奥に貫いています。杖は十字架になっているのです。(この絵では強調されていませんが、十字架は一般的に聖者の象徴です。)それに、我々に向かって突き出した立体的な膝。このような描き方は当時画期的でした。まるで絵から飛び出してきそうです!カラヴァッジョは聖者の人間味と神聖さの両方を強調しています。この洗礼者ヨハネは思慮深げでかつ弱さを抱えた生身の人間です。これが聖者だというのなら我々は誰でもみんな素質があるということです。真実の神聖さは一人一人が内に持っているものなのです。

この名作 (アメリカのカンザス州ミズーリにあるネルソン・アトキンス美術館が貸出中) は世界中から集められたカラヴァッジョの他の作品20点とともに、ミラノのパラッツォ・リアーレで開催されているカラヴァッジョ展で2018年1月28日まで見ることができます。目を見張る作品そのものだけではなく、カラヴァッジョの優れたテクニックにも注目した展覧会が開かれるのはこれが初めてです。 作品はそれぞれ、作品とその制作過程を分析したレントゲン写真と共に展示されています。ミラノ近郊にお住まいだったら、これを見逃す手はありません!

- ブラッド記