民衆を導く自由の女神 by Eugène Delacroix - 1830年 - 260 x 325 cm 民衆を導く自由の女神 by Eugène Delacroix - 1830年 - 260 x 325 cm

民衆を導く自由の女神

油彩 キャンバス • 260 x 325 cm
  • Eugène Delacroix - 26 April 1798 - 13 August 1863 Eugène Delacroix 1830年

ウジェーヌ・ドラクロワはフランス絵画の巨匠の一人ですが、彼の回顧展は没後100年に当たる1963年にパリで開かれて以来開かれていませんでした。ルーブル美術館が主に油彩画180点を集め、彼の生涯にわたる創作への賞賛を込めてた展覧会が、ニューヨークのメトロポリタン美術館の共催で開催されています。この展覧会の会期は2018年7月23日まで。今年最も注目すべき美術展の一つです。

1830年7月27日、28日、29日のパリの暴動はTrois Glorieuses (栄光の三日間Three Glorious Days)とも呼ばれますが、復古王政による憲法違反に反対する革新的な共和党員たちの手によって引き起こされました。ブルボン王朝最後のフランス王、シャルル10世は、オルレアン公ルイ・フィリップに倒され、取って代わられました。この騒乱を目撃したドラクロワはこれを近代絵画のテーマだと感じました。ギリシャの独立戦争から着想を得た「キオス島の虐殺」という作品に注がれたと同じ情熱がこの絵の仕上がりにも反映されています。

自由の女神の物語が、人民を先導するフリギア帽の若い女性の姿で表現されています。巻毛が首の上に流れています。力強く、情熱的で、革新的、そして勝利者であるこの女性は1789年の革命やサン・キュロット、主権在民を彷彿とさせます。高く上げた右手に持っているのは赤、白、青の旗。炎のような光を背景に翻る戦いのシンボルです。

二人のパリの浮浪児も自発的に戦いに参加しています。左の一人は石にしがみつき、軽い歩兵帽の下で目を丸く見開いています。自由の女神の右側にいるガウローシュのことはよく知られています。この少年は不公平と戦い大義に身を捧げる若き反逆者です。反乱の象徴として学生がかぶるような黒いベルベットのベレー帽(または学生帽)を身につけ、肩からは大きな弾薬袋を斜めにかけています。右足を一歩前に出し、手に持った2丁の軍用ピストルを誇示するように片腕を上げ、参戦を呼びかける雄叫びをあげています。

帽子をかぶって跪いている中産階級風のおしゃれで都会的な人物は、おそらくドラクロワ自身か、または彼の友人の一人でしょう。ダボダボのズボンを履き、職人が身につけるようなフランネルのベルトを締め、2銃身の猟銃を持っています。女神の前に体を持ち上げている負傷した男は女神のドレスを思わせるような黄ばんだスカーフを着けています。彼の小作農のような服装と赤いフランネルのベルトは当時の典型的なパリの労働者を表しています。そして青い上着と赤いベルト、白いシャツは旗の色合いとも呼応しています。

この写実的で革新的な作品は20世紀最大の巨匠の一人に影響を与え、この作品同様に象徴的な名作を生み出しました。さて、その巨匠とは誰でしょう?答えはこちらです。