毛づくろいをする赤ブチの猫 by Paul Klee - 1905年 - 18 x 13 cm 毛づくろいをする赤ブチの猫 by Paul Klee - 1905年 - 18 x 13 cm

毛づくろいをする赤ブチの猫

ガラス絵 • 18 x 13 cm
  • Paul Klee - December 18, 1879 - June 29, 1940 Paul Klee 1905年

パウル・クレーは1905年の10月にこの作品を制作し、10月4日付の妻リリーに宛てた手紙で次のように書いています。

「今日ガラスにペンで描いた絵には新しさがある。太い筆致で特徴を出し、それから色とぶち模様の形を決めて、紙に描くのと順序が逆だが、最後に白とグレイの背景を決めたんだ。3色で描いたこの雄猫は、おかしな姿勢をとっていて、どこかグロテスクだが、ラングナウの伝統的な陶器を連想させるね。」

このガラス絵は描画した裏から鑑賞するものですが、妻宛ての手紙に書いているように、クレーはまずガラス板にペンでデッサンし、それから猫のぶちの部分を中心に彩色。その後、色付けした部分と猫の全身、そして絵の下部を白で、上部の背景を淡いグレイで下塗りしています。この作品はクレーのガラス絵としては最初期のものです。

クレーが自ら指摘しているように、猫はグロテスクに見えるようなおかしな姿勢をとっていますが、それがこの絵の構図を目を引くものにしています。毛づくろいをする猫は三角形の枠に納まり、脚、特に上に伸ばした脚は画面の対角線上に、頭は中心に描かれています。

猫の頭が画面の真ん中に、脚や尻尾などの体のパーツが中心から対角線上に広がる構図になっています。猫の姿には、素朴で家庭的な幸福感が内包されています。

今日の作品は、パウル・クレー・センターの協力で紹介しています。

P.S. パウル・クレーが描く秋の情景と暖かな色遣いの世界はこちら