小さなビール工場

このビール工場の中では、女性労働者がビールのボトル詰めやコルク詰めをしています。後方では監督者が見守っています。工業化していたこの頃のスウェーデンでは女性労働者は決して珍しくはありませんでした。ここで描かれている作業はどちらも重労働であったはずです。しかしソーンのこの絵は社会批判として描かれたものではありません。それどころか彼は工場の中の光や蒸し暑さ、そして熱心に仕事する女性達をどう描写するかに工夫を重ねたようにさえ見えます。

この作品についてはヨーロッパの文化遺産のためのEUのデジタルプラットフォーム｢ヨーロピアナ｣の研究を参考にしました。ヨーロピアナのヨーロッパの労働プロジェクトでは日常の仕事を通してヨーロッパの移り変わりを見ることができます。ビール文化の起源についてはこちらのブログをご覧下さい。

追記:工場労働を描いたものとして有名な絵はアドルフ・メンツェルの『鉄圧延機工場』です。この絵は『現代のサイクロプス』とも呼ばれています。詳しくはこちらをご覧下さい。