聖セバスティアヌス像 by Lubomir Tomaszewski - 2006年 聖セバスティアヌス像 by Lubomir Tomaszewski - 2006年

聖セバスティアヌス像

  • Lubomir Tomaszewski - 9 June 1923 - 15 November 2018 Lubomir Tomaszewski 2006年

ルボミル・トマシェフスキはポーランドからアメリカに移住した彫刻家、画家、デザイナーです。「見せる部分はより少なく、内容はより多く」という原則を核としたエモーショナリズムという芸術的概念を打ち出し、過剰に形式にこだわる20世紀の芸術に対する答えとしました。 

トマシェフスキは誰も到達したことのない芸術を作り上げたいと思っていたため、巨匠のもとに弟子としてつくということはしませんでしたが、感情を喚起させるものとして知られてきた伝統的な主題や方法はしばしば用いました。トマシェフスキの豊かな発想は、中でもギリシャ神話や聖書の物語を源としていました。様々な方法で鑑賞者の感情に訴えかけるような作品を生み出すことを目的としていたのです。

トマシェフスキは聖セバスティアヌスを細身で背の高い若者として表現しています。一本の矢のみが聖人の身体を貫いていますが、作品の姿形はその殉教の苦しみを表しており、強い感情が表出されています。殉教の瞬間の劇的な強烈さを強調するかのように、金属の表面はぼろぼろで緑青に覆われています。

偉大な芸術家たちにとって、聖セバスティアヌスの殉教を描くことは、男性の美を描ける格好の機会であり、そのおかげで聖セバスティアヌスはゲイの人々の非公式の守護聖人とみなされるようになりました。この彫刻作品は、殉教者の苦難と性的指向に対する差別を照らし合わせ、社会的文脈からその意味を読み取ることも可能です。

本日の彫刻作品はルボミル・トマシェフスキ財団のご協力のもとお届けいたします。

P.S. 聖セバスティアヌスがゲイ・アイコンだって知ってましたか? 詳しくはこちら