陶器やいわゆるデザインものをここでご紹介することは滅多にありません。でもこれを無視することはできませんでした。見てください、これが18世紀の作品だなんて信じられますか?イギリスの貴族たちが上品な集まりでこれでお茶を飲んでいた!?まるでバスキアかキース・ヘリングの1980年代の作品のようですよね!びっくりです。抽象的な装飾模様は前衛的と言っても過言ではありません。
このティーポットは1760年頃にイギリスのスタッフォードシャーの工房で作られたました。とても小ぶりなポットですが存在感は抜群。近づいて見るとモノトーンのエナメル模様の中から歯の付いたあご骨がこちらに飛びついてくるようです。陶芸師たちはこの野心作を3億年前の石灰岩紀にできたウミユリ石灰岩を模して造りました。ウミユリは海洋生物の一種で、海底で揺れ動いてまるで花のように見える生き物です。
自然史探究は18世紀イギリス中上流階級の人々の洗練された趣味でした。当時の紳士淑女は動植物や昆虫を熱心に蒐集し、研究したのです。ここに描かれた生物の化石達は18世紀の人の好奇心をかき立てたにちがいありません。
これでアール・グレイを飲んだら素敵でしょうね!
P.S.これのどこがヘリングやバスキアを彷彿とさせるのか、クリックしてみるとわかります。そして今すぐお茶が飲みたくてたまらなくなったあなた!ティータイムを楽しんでいる人達の素敵な絵はこちらですよ。