ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像 by Jean-Auguste-Dominique Ingres - 1845年 - 131.8 x  92.1 cm ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像 by Jean-Auguste-Dominique Ingres - 1845年 - 131.8 x  92.1 cm

ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像

油彩/カンヴァス • 131.8 x 92.1 cm
  • Jean-Auguste-Dominique Ingres - August 29, 1780 - January 14, 1867 Jean-Auguste-Dominique Ingres 1845年

フリック・コレクション特集の最終回です。特集はお楽しみいただけましたでしょうか。8月は、また趣向を変えてお届けする予定です。今日は私のお気に入りの画家の肖像画作品を紹介します。素敵な日曜日をお過ごしください。

マダム・ド・スタールの孫娘ルイーズ・ド・ブロリ公女 (1818–82年)は18歳で結婚しました。外交官の夫は作家でもあり、アカデミー・フランセーズの会員でもありましたが、彼女自身にもロバート・エメットやバイロンの伝記を含む多数の著作があります。当時の時代背景と、彼女の出自が上流階級であることを考えると、ルイーズは極めて独立心旺盛で進取の気性に富んだ女性でした。アングルは、1842年にこの肖像画の制作に着手しますが、その完成までには幾多の試行錯誤を重ね、顎のあたりまで上げた左腕や頭部、鏡に映った後ろ姿の原寸大の習作をはじめとする数多くのデッサンを繰り返し描きました。画家が書いた手紙によると、完成した作品は「彼女の家族や友人からの賞賛の嵐を巻き起こした」ようです。寝室の親密な空間で、ショールとオペラグラスを脇に置いて、布張りの暖炉にもたれかかっている若い女性に、画家が偶然出くわしたかのようです。  

P.S. アングルは肖像画の達人でした。絵画史に遺る肖像画の傑作12点をこちらからご覧ください!