戦没者のそばで by Martin Benka - 1946年 - 94x75cm 戦没者のそばで by Martin Benka - 1946年 - 94x75cm

戦没者のそばで

油彩/カンヴァス • 94x75cm
  • Martin Benka - 21 September 1888 - 28 June 1971 Martin Benka 1946年

スロバキア・モダニズムの画家として知られるマルティン・ベンカは、庇護者としての女性の姿で母性を表現しています。ベンカの作品の多くには、民族衣装を着て赤ん坊を腕に抱いた農村の女性が登場しますが、それは人類とその資質、精神的欲求、価値観や伝統の美しくも気高い、凛とした守護者、聖母としての女性なのです。第二次世界大戦の終結から間もない1946年に制作された本作にも、同じ思想が見られます。夫を失った母と、父親を戦争で亡くした幼子がカンヴァスを占め、画面右上に描かれている墓地が、その喪失を暗示しています。前述したような母性と庇護という主題に加えて、本作には反戦という人道的なメッセージが込められています。ベンカは、この絵を通して、戦争による喪失の痛みに苦しむすべての人々に対する敬意と思いやりを表し、精神的な支援の手を差し伸べているのです。

ベンカの作品は、画家の生誕130周年を記念した展覧会で見ることができます。会場は、ブラチスヴァ城の3階にある国立スロバキア美術館です。

P.S. ピエタに描かれた嘆きの聖母から、メアリー・カサットの親密な母親像まで、母性は美しい主題として様々な形で描かれてきました。絵画の中の母の姿をこちらからご覧ください。