グンログル・シェヴィングはレイキャビクで生まれた後、アイスランド東部に里子に出されました。1920年にレイキャビクに戻った彼は、彫刻家エイナル・ヨーンソンから個人レッスンを受ける傍ら、ムガールという名でも知られたグズムンドゥル・トルステインソンの美術学校に通い始めます。1923年にはコペンハーゲンに渡り、1年間私立の美術学校で学んだ後に、デンマーク王立美術院で5年を過ごしました。世界大恐慌の始まりと共にアイスランドに帰国、数年間漁村を転々とする厳しい生活の後に、1935年にレイキャビクに腰を落ち着けます。漁師とその生活を描いた作品はたちまち注目を集め、彼の主要なテーマの一つとなりました。シェヴィングは、『鮫を釣り上げる』という巨大な作品で、自然の力と戦うアイスランドの漁師の姿を写実的に描いています。一部分だけ描かれた船は、波に翻弄されているような印象を与え、画面を対角線が横切る力強い構図は、ダイナミックなエネルギーを感じさせます。漁師は、信頼すべき確固とした存在として中心に立ち、天候と光の具合は、その色遣いによって表現されています。数多く現存する、この野心的な作品のための下絵やスケッチは、画家が完璧な構図を求めて試行錯誤を繰り返したことの証。シェヴィングは、様々な場面で異なる姿を見せる人間と自然の密接な関係や、海と陸で働くアイスランドの人々の仕事ぶりを描こうとしました。彼の作品には、そのシンプルな構図と色調ゆえに、個人の姿を普遍的な存在に一般化するという象徴的な特徴があります。田舎の生活を描いた作品では、19世紀末の詩に歌われているような古き時代を体現し、船乗りの生活を主題にした絵では、漁業が直面していた自動化と工業化による変化の波を映し出しています。作品の大きさとその画法は、グンログル・シェヴィングをアイスランドの美術史における特別な存在に押し上げました。
今日の作品紹介に協力いただいたアイスランド国立美術館では、シェヴィングから遺贈された1,800点を超える作品を所蔵しています。そのコレクションには12点の油彩に加えて、スケッチから完成作品まで数多くの水彩画とドローイングが含まれています。
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