1890年頃から、メアリー・カサットの興味は、子どもの世話をする女性や子ども自身に向けられるようになります。これには、画家の姪や甥っ子への愛情と、世間の育児文化に対する関心の高まりが影響していたようです。カサットは、この絵の制作にあたり、母子のモデルとして血縁関係のない2人に協力を仰ぎました。1901年にこの作品を購入したルイジーヌ・ハヴメイヤー(ニューヨークの美術収集家、フェミニスト、慈善家)は、この絵が醸し出す誠実さについてこう論評しています。「母親の膝の上に寄りかかっている小さな女の子を見てください。お母さんの針仕事の邪魔になりそうなことには無頓着な様子。そう、女の子は邪魔にはなっていません。お母さんはちょっと体を引いて、縫い物を続けています。」
メアリー・カサットはアメリカの画家・版画家。ペンシルベニア州のアレゲニーの生まれですが、成人してからの大半を暮らしたのはフランス。エドガー・ドガと親しくなり、印象派展にも出品しました。印象主義運動におけるカサットの役割についてもっと学びたい方は、デイリーアートの印象派オンライン・メガコースをこちらからご覧ください。女流画家がお好きなら、女流画家ノートブックはいかがですか?
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