蝋燭を持つ老婆と少年 by Peter Paul Rubens - 1616 - 1617年頃 - 77 x 62.5 cm 蝋燭を持つ老婆と少年 by Peter Paul Rubens - 1616 - 1617年頃 - 77 x 62.5 cm

蝋燭を持つ老婆と少年

油彩/パネル • 77 x 62.5 cm
  • Peter Paul Rubens - June 28, 1577 - May 30, 1640 Peter Paul Rubens 1616 - 1617年頃

ルーベンスは17世紀のフランドルの主要な画家です。彼はイタリアで数年働き、そこでカラヴァッジョの作品に詳しくなりました。カラヴァッジョは、キアロスクーロという、光と陰の強いコントラストの使用でとりわけ際立った新しい絵画のスタイルを取り入れていました。この絵から、ルーベンスはカラヴァッジョのスタイルを見事に習得したことがわかります。ルーベンスが、ヌードであふれた壮観な神話の場面だけでなく、現実の身近な場面にも優れていたことを証明する好例です。そして、このおばあさんを見てください! 驚くほど写実的です。

ルーベンスはこの絵を、売るためではなく、手もとに残しておくために制作しました。おそらく工房の弟子たちへ「ほら、カラヴァッジョならこう描くよ」と示すための教材としてこの絵を使ったのでしょう。売りに出されることはまずありませんでした。ルーベンスは新しいパネルではなく、古い板材からできたパネルを使ったのです。依頼された作品や売る作品であれば、そのようなことはしないはず。自分のための絵を制作する場合に、やるようなことです。

ルーベンスはこの絵から作られた版画を持っており、その版画の真下には、オウィディウスの本「恋の技法」の引用文が記されていました。恋の機会を失ったことを振り返る、夜に紛れた老婆を描写したオウィディウスの文章です。それは、若く美しいうちにチャンスを掴みなさいと鼓舞させるもの。このことから、この絵の新しい側面が見えてきます。老婆は、かつての恋の機会がもう失くなり、物思いにふけっているようです。そして今度は、少年が恋をさがしに行く番です。

今日の絵画は、ハーグにある、私たちの大好きなマウリッツハイス美術館のご協力で紹介しました <3

P.S. DailyArtの2021年版ペーパーカレンダーをお忘れなく。ただいま、通常より40%オフです :)

P.P.S. 学びたい気分ですか? こちらは、ピーテル・パウル・ルーベンスについて知っておくべき10のこと!