アメリカの画家ジョン・スチュアート・カリーは、アメリカン・リジョナリズムの3大巨匠の一人。素朴な自由さを強調したアメリカ中部の武骨な情景を描きました。栄養の行き届いたヘレフォード種の巨牛アジャックスは、背中に2羽の鳥を乗せ、頑丈な脚、巨大な頭、太い尾を持ち、アメリカの大地にしっかりと根づいているようです。雄牛の輪郭は、背後の雲の形に反復され、2羽の小鳥が牛の大きさを強調しています。画家の視点は大地と地平線に集約され、雄牛のアジャックスが2つをつなぐ完璧なシンボルになっています。
この作品は、ダストボウルの苦難を乗り越えたアメリカ人を元気づけるために制作されました。ダストボウルは、1930年代の乾燥期に干ばつが発生した米国南部の平原を襲った大規模な砂嵐。カリーの友人レジナルド・マーシュは、これは画家の自画像そのものだと言っています。
カリーは、壁画『カンザスの田園』など幾つかの作品に雄牛のアジャックスを登場させていますが、それはリジョナリズムの絵画は表面的だとする人々の嘲笑の的にもなりました。
P.S. えっ!(Holy Cow!)オランダの画家が好んで牛を描いたことをご存知ですか?その訳はこちら!