James Goodwyn Clonney
今日の作品に描かれているのは、ロングアイランド湾の釣り仲間。構図の中央を占める小舟に乗った３人の釣り人から、異なる方向に３つの線が伸びています。小舟の左側へ突き出した釣り竿、右側にはアンカーロープ、そして真ん中の少年が握る釣り糸。そのピンと張りつめた様子から、魚がちょうど餌に食いついたところだということがわかります。３人の人物は、画家の初期の作品に既に登場しています。シルクハットをかぶった初老の男、戯画っぽいタッチで描かれた平べったい丸顔の少年、古代ローマ神ファウヌスのようなポーズで寝そべる若い黒人の男性。同時代の画家のビンガムやマウントと異なり、クロニーの作品にはユーモアがあります。この作品でも、左側の男性が少年に向ける、刺すような疑い深い視線や、船尾に横たわる男のお気楽な態度にそれが表れています。それでも、人物描写が醸し出す、やや奇異な趣は、黄金色に輝く背景の、何気ない穏やかな描写によって中和されています。
今日の作品は、ティッセン＝ボルネミッサ美術館の協力で紹介しました。
P.S. ティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵の傑作の数々は、こちらをご覧ください。
P.P.S. 素晴らしい絵にもっと触れたい方は、2022年のアート・カレンダーはいかがですか？こちらからチェックしてみてください。