ヌードの習作のある絵具箱 by Helena de Kay - 1871年頃 - 5.1 × 23.5 × 14 cm ヌードの習作のある絵具箱 by Helena de Kay - 1871年頃 - 5.1 × 23.5 × 14 cm

ヌードの習作のある絵具箱

油彩/板 • 5.1 × 23.5 × 14 cm
  • Helena de Kay - 1846 - 1916 Helena de Kay 1871年頃

今日は、女性史特集月間の最終日。有終の美を飾るのは、見事な一品、ヘレナ・デ・ケイの絵具箱です。

ヘレナ・デ・ケイは、その絵画作品よりむしろ、19世紀末ニューヨークのアート・シーンのトレンド・リーダーとして知られていますが、彼女自身も芸術家の一人でした。今日紹介する作品は、彼女が1870年代(おそらく、それより早い時期から)にナショナル・アカデミー・オブ・デザインに在籍して絵画を学んだ証です。当時の女性がどのように絵の習得に努めていたかをよく表しています。この絵具箱に描かれた習作は1871年の制作。その年は、アカデミーが初めて女性に写生クラスの門戸を開放した年でもありました。 

ヘレナは、夫であるリチャード・ワトソン・ギルダーの詩集の挿絵もしばしば手掛けていました。しかし、彼女がアート・シーンに与えたインパクトの源泉は、自身の作品に留まりませんでした。1875年にはアート・スチューデント・リーグの設立を支援し、1887年には全米芸術家協会の共同創設人になっています。同協会は、伝統的画法の教育を受けた若い芸術家に、非伝統的なスタイルに触れる機会を提供するべく設立されたもの。彼女の主導的存在そのものが、これらの団体に数多くの女性を引き寄せることになりました。ヘレナは、ウィンスロー・ホーマーのミューズであり、憧れの女性でもありました。二人は多くの時間を共に過ごし、ホーマーが何度も彼女を口説こうとしたことが二人の間で交わされた書簡から見て取れます。

女性史特集月間はこれで終わりですが、歴史の流れに埋没した女流画家の紹介はこれからも続きますのでお見逃しなく!デイリーアート・マガジンでも、有名、無名を問わず女性画家のストーリーを紹介していきます。

P.S. 女流画家ノートブックも是非チェックしてみてください。女性が手掛けたアートと画家の物語が満載ですよ。