若い男の肖像 by Sandro Botticelli - 1483年頃 - 43.5 x 46.2 cm 若い男の肖像 by Sandro Botticelli - 1483年頃 - 43.5 x 46.2 cm

若い男の肖像

テンペラ/ポプラ板 • 43.5 x 46.2 cm
  • Sandro Botticelli - c. 1445 - May 17, 1510 Sandro Botticelli 1483年頃

この若者はロックスターのようではないですか?

サンドロ・ボッティチェリは神話を主題とした作品で知られていますが、肖像画も数多く手がけています。ただ、ボッティチェリに帰属するとされる作品はそれ程多くありません。おそらく実在する人物ではなく、理想化された女性の肖像のような作品も多数遺されています。男性の肖像画については、モデルが誰なのか不明な点が多く、実際に証拠がある場合でもメディチ家の一員の肖像だと長く考えられてきたこともありました。1,2点の例外を除いて、小ぶりの板絵の肖像画のモデルは、胸の下あたりまでというより上半身までが描かれています。背景は無地、もしくは開け放たれた窓。窓から見えるのは空だけで、外の風景が描き込まれた例はごくわずかでした。これらは彼のキャリア初期のフィレンツェ風肖像画に典型的な特徴ですが、晩年には流行遅れのスタイルなりました。

この作品は1922年に美術史家のベルナルド・ベレンソンによって、ボッティチェリに帰属するとされました。モデルはフィレンツェの男性。興味をそそる表情とエレガントな手ぶりが特徴的です。この手に、若年性関節炎あるいはマルファン症候群(全身の結合組織に異常をきたす遺伝性難病)の兆候を見る研究者もいます。この病気を患った人は細身で高身長という特質を示し、腕、脚、指、つま先が長くなります。しかし、これは単にボッティチェリの作風から来るものかもしれません。 

サンドロ・ボッティチェリはルネサンス期の巨匠。『ヴィーナスの誕生』は美術史上最も有名な絵の一つです。デイリーアートのポストカード50枚セットの1点でもありますよ。

P.S. 今日は数百年前の人の健康状態をチェックしました。『モナ・リザ』が患っていたかもしれない健康上の問題について興味がある方はこちら