核戦争、大きな呪い by Maria Prymachenko - 1989年 核戦争、大きな呪い by Maria Prymachenko - 1989年

核戦争、大きな呪い

ガッシュ、紙 •
  • Maria Prymachenko - 12 January 1909 - 18 August 1997 Maria Prymachenko 1989年

核戦争 —
彼女を呪え!
人々は彼女を知らないから、
彼らは涙を流さない

マリア・プリマチェンコは20世紀初頭に、キーウとチェルノブイリに挟まれたボロトニアという村に生まれました。その地域の1986年の核災害と、それによる放射能や汚染は、画家の故郷をじかに脅かしました。それらはまた、彼女のその後の作品に極めて大きな影響を与え、画家は作品内でしばしばその出来事に触れています。

原子力と関連あるプリマチェンコの作品は、放射能汚染という目に見えない脅威を表現しようとする試みであり、核戦争への抵抗の形だと捉えられるでしょう。『核戦争、大きな呪い』では、想像力という言語と原型を用いて、原子力の影響を受けた以降の世界での新しい動物寓話集を作り出しています。いくつかの対になったチェルノブイリの作品に描かれているのは、危険な動物、災いとなる交配種で、それらの口や耳からは蛇が出ています(蛇は民話では、しばしば邪悪のシンボルとされるため、彼女がこの特定の生き物を選んだのは偶然ではないでしょう)。それは鮮やかで直接的な訴えであり、画家が生きた世界の秩序を越えてしまった、核による破壊の脅威への対抗でした。
 
これらの作品は、原子力のエネルギーを、自然との終わりなき抗争における人類の勝利の極めて強力なシンボルだとしたソヴィエトの文化においては、とりわけ興味深いものかもしれません。同時にチェルノブイリは、テクノロジーによって飼いならされるはずだった自然に、人類が打ち勝つという物語が崩壊した瞬間でもありました。マリア・プリマチェンコの力強い表現の美術は、人間とそうではないものたちの世界の共存という、異なった物語を構築しています。その世界では、それらの要素は調和を保っています。このように理解される現実に、核の脅威を含めることはできません。それは有害です。たとえ芸術によってでも、過度に魅了されるべきではありません。したがって、適切な表現を見つける必要があります。

この作品はワルシャワ近代美術館で開催中の「庭の虎 マリア・プリマチェンコの美術」展で展示されています。2024年6月30日まで見ることができます。

P.S. マリア・プリマチェンコの美術の独特な世界を探索しましょう! 彼女が想像した生き物たちは、この世界には収まりません。