ペルシャのナイチンゲール by Paul Klee - 1917年 - 22.8 x 18.1 cm ペルシャのナイチンゲール by Paul Klee - 1917年 - 22.8 x 18.1 cm

ペルシャのナイチンゲール

グラファイトの下書きにグアッシュ, 水彩, ペン,黒インク/厚紙に貼り付けたレイド紙 • 22.8 x 18.1 cm

  • Paul Klee - December 18, 1879 - June 29, 1940 Paul Klee

    1917年

パウル・クレーの芸術には時折り文学からの影響が見られますが、『ペルシャのナイチンゲール』はおそらく14世紀のペルシアの詩人ハーフェズの詩からインスピレーションを得たと思われます。クレーは、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの『西東詩集』でハーフェズのことを知ったのかもしれません。この著作は、ハーフェズとその詩の世界をドイツ語圏の読者に紹介したものです。

ハーフェズの詩は、愛、ワイン、美そして自然界を称え、世俗的な欲望と精神的憧憬との間を軽やかに行き来します。ナイチンゲールと薔薇はそこに繰り返し登場する象徴。ナイチンゲールは切望する恋人を表し、そして薔薇が体現するのは完璧で神聖とも言える美。クレーは、この二つのモチーフを今日紹介する水彩画の主題にしています。画面左下にはピンクの薔薇、そして画面中央を占めるのは、くっきりと描かれた不思議な三羽のナイチンゲール。その内の一羽は、文字通り欲望に酔っているかのように上下逆さまに描かれています。

クレーは言葉も巧みに操っています。RとNの文字はおそらく”Rose”と ”Nachtigallen”(ドイツ語で「ナイチンゲール」の意) を表していますが、それらは単なるラベルというより絵の一部になっているのです。二つの文字は鳥や星、三日月そして天体のような形と並んで浮かび、一つの夢のような空間を共有しています。

この作品はまた、クレーがペルシアの細密画に魅せられていたことも示唆しています。宝石のような色彩、繊細な装飾、伝統的な遠近法を無視した描写、そしてモチーフの大きさを自在に変える遊び心。これらはすべてペルシアの写本挿絵を彷彿とさせるもの。アーチや開かれたカーテン越しに視界が広がるような構図にさえ、細密画特有のフォーマットが見られます。ドイツの美術館でペルシア芸術に触れる機会が数多くあったクレーは、ミュンヘンで1910年に開催された大規模なイスラム美術の展覧会をほぼ間違いなく観ていたことでしょう。同展には数千点もの作品が展示され、クレーの友人だったワシリー・カンディンスキーをはじめとする同時代の芸術家たちに強い印象を残したのです。

P.S. 2027年が、もっとアートに彩られる年になることをお忘れなく。デイリーアートのカレンダーは、うってつけのアイテムですよ。

P.P.S. パウル・クレーの『魚の魔法』の摩訶不思議な水中の世界へ行ってみましょう。水面下にどんな変わった生き物とシンボルが待ち受けているかを是非ご覧ください。