地上の楽園 by Pierre Bonnard - 1916年~1920年 - 51.25 x 63 インチ 地上の楽園 by Pierre Bonnard - 1916年~1920年 - 51.25 x 63 インチ

地上の楽園

油彩、カンヴァス • 51.25 x 63 インチ
  • Pierre Bonnard - October 3, 1867 - January 23, 1947 Pierre Bonnard 1916年~1920年

エドゥアール・ヴュイヤールやアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作風でパリの風景画が生み出された時代の後、1905年前後に、ピエール・ボナールは自分の芸術を実質一から作り直しました。ボナールが新たに、大規模な構図や大胆な形、鮮やかな色遣いに重きを置いたことや、これまで主題として探ったことのなかった田園風景に焦点を当てたことからは、同時代の画家であるアンリ・マティスやパブロ・ピカソの作品を意識していたことが分かります。

ボナールの作品を扱っていた美術商ジョス・ベルネームとガストン・ベルネームのために、1916年から1920年にかけて描かれたシリーズ作品4枚のうちの一つ、《地上の楽園》には、ボナールによる光・色彩・空間の新しく大胆な探求の数々が表れています。本作では、思い悩むアダムと横たわるイブが織りなすドラマのために、木の葉を用いてプロセニアム・アーチのようなものを創り上げています。ボナールが構築した人物間のコントラストは、性を本質とする存在として描かれる女性は自然と結びついており、それに対して知性を本質とする存在である男性は地上の世界を超越する、とする伝統に沿っているように見えます。イメージの曖昧さを助長しているのが、鳥や猿、うさぎ、大蛇 (ここでは無毒のガーターヘビに描き変えられています) がなす列です。エデンらしさに乏しいこの楽園には、本作が描かれ始めた頃はまだ猛威をふるっていた、第一次世界大戦に伴うヨーロッパの破壊に対する、ボナールの反応が表れているのかもしれません。