正義

ジョルジョ・ヴァザーリは重要なルネサンス期の画家ですが、今日では『画家・彫刻家・建築家列伝』という、美術史に関する書物の思想的基盤とされる本の著者として最もよく知られています（大学で美術史の講義を取った人は、実質誰でも、15〜16世紀イタリアの画家について書かれた彼の記述を読まなければならなかったことでしょう。話のうちいくつかは、なかなかあり得なさそうなものですが、面白い逸話も含まれていますよね！）。《正義》は、ヴェネツィアのパラッツォ・コルネル・スピネッリに残存する作品の一つです。ヴァザーリがこの宮殿のために描いた13の作品は、今や様々なコレクションに分散してしまっていたり、紛失してしまったりしています。下からの視点で短縮法で描かれた寓話上の人物たちは皆、見えない胸壁に乗りかかっているように見え、その姿は空を背景にして暗く描かれています。後にサン・セバスティアーノ教会の天井画を手がけることとなる、若かりし頃のヴェロネーゼを始めとして、ヴェネツィアの画家たちはこの作品に大いに関心を持ち、細部までよく眺めたことでしょう。この絵には技法が非常にうまく用いられており、ヴァザーリ自身も、ヴェネツィアの宮殿のために描いた作品が有する、巧みで洗練された精巧さに匹敵するものを生み出すには苦労したほどでした。