エコーとナルキッソス by John William Waterhouse - 1903年 - 109.2 cm × 189.2 cm エコーとナルキッソス by John William Waterhouse - 1903年 - 109.2 cm × 189.2 cm

エコーとナルキッソス

油彩、カンヴァス • 109.2 cm × 189.2 cm
  • John William Waterhouse - April 6, 1849 - February 10, 1917 John William Waterhouse 1903年

常におしゃべりを続けたことで女神の罰を受けたエコーは、他人の言葉を繰り返すことしかできなくなりました。河神ケフェウスとニンフのレイリオペの息子、ナルキッソスに恋に落ちたエコーは、愛を勝ち取ろうとして彼が話した言葉の一部を使うのですが、彼はその思いを拒絶します。同じように男女がナルキッソスの美しさに惹かれるのですが、そうした愛情に対してナルキッソスは何も返さないのです。

彼の行いに気づいた復讐の女神ネメシスは、ある日ナルキッソスを川へと引き寄せ、そこでナルキッソスは水面に映った自分に恋に落ちてしまいます。そして私たちはこの場面を目にしているわけです――エコーは、水面に映る自分を見ているナルキッソスを見つめていますが、彼自身の顔の儚げな美しさから彼を引き離すことができずにいます。触れられないということ、繋がれないということ、自分が愛した実体のない対象から愛を感じられないことが、じきにナルキッソスを狂気へと導きます。エコーは自分の言葉を発することができず、ナルキッソスの最後の言葉を自分の声でなぞるだけ。狂気に溺れたナルキッソスは、死ぬまで胸を叩き続けました。火葬のための薪が用意された頃には、ナルキッソスの遺体は消えていました。その場所に現れたのは、美しい花――水仙(ナルキッソス)の花でした。

この有名な物語は、オウディウスの『変身物語』で語られています。

クロード・モネやファン・ゴッホと同じ時代を生きたウォーターハウスは、代わりとなる表現方法を探ることはせず、厳密な古典的テーマと技法を守り抜きました。モネが空間や色彩を吟味し、彼の作品では初のオールオーヴァーな絵画となるジヴェルニーの睡蓮を描いた作品を制作しているときに、ウォーターハウスは愛されてきた物語を飾り気なく語り直すために媒体を使ったのです。   

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