クワガタムシ by Albrecht Dürer - 1505年 - 5 9/16 x 4 1/2 インチ クワガタムシ by Albrecht Dürer - 1505年 - 5 9/16 x 4 1/2 インチ

クワガタムシ

水彩 グワッシュ • 5 9/16 x 4 1/2 インチ
  • Albrecht Dürer - May 21, 1471 - April 6th, 1528 Albrecht Dürer 1505年

「本当です」デューラーは書いています。「芸術は大自然のあらゆるところに存在するのです。そして、真の芸術家とはそれを引き出すことができる人間です。」今日ご紹介した作品はデューラーの作品の中でも最も有名でリアルな自然観察画の一つです。カブトムシだけを取り上げてそれを作品の中心として仕上げるというのは1505年当時前代未聞でした。その頃ほとんどの人は昆虫は最も下等な生物に過ぎないと軽んじていたのです。デューラーの大自然への強い関心はルネッサンス特有のものでした。敬意を込めて丁寧に描かれたこのカブトムシはまるで紙の上に現れたヒーローのようです。

デューラーはこの作品をアトリエで、大自然の中で直接見ながら又はその記憶をもとに描いたスケッチから完成させたと考えられています。完成度の高さから、彼がこの絵を習作ではなくあくまで作品の一つと考えていたことは明らかです。カブトムシの厚みや硬さ、でこぼした羽の表面が色彩で表現されています。たとえば地面から離れている足の影などがありのままに重ね塗りで表現されていて、照明の効果を感じさせます。近づいてみましょう。昆虫の足とギザギザの顎はゴシック後期の地獄絵や『聖アントニウスの誘惑』に出てくる空想上の獣とよく似ています。