アポクシュオメノス by Unknown Artist - 紀元前2~1世紀頃 - 192 cm (76 インチ) アポクシュオメノス by Unknown Artist - 紀元前2~1世紀頃 - 192 cm (76 インチ)

アポクシュオメノス

ブロンズ • 192 cm (76 インチ)
  • Unknown Artist Unknown Artist 紀元前2~1世紀頃

これまで、あまり古代ギリシアや古代ローマの作品をご紹介してきませんでしたが、これからは違います!

 

この彫刻、アポクシュオメノス像は、2000年以上も海の底に沈んでいました。1996年にアドリア海に浮かぶクロアチアのロシニュ島の近くでダイビングをしていた旅行客が、この若いアスリートのブロンズ像を発見し、1999年に海から引き上げられました。

 

192センチの高さのこの像は、アスリートが古代ギリシアでサンオイルとして使用されていた油と細かい粉を混ぜたものを、ストリギルと呼ばれる小さな器具でこすり落とそうとしている様子を表しています。アポクシュオメノス像の発見はとても珍しいもので、水底に眠っていた考古学的発見の中でも素晴らしいものの一つです。この像は、埋め込まれた目、片方の小指、そしてストリギルを除いて完全な状態で発見されたため、アポクシュオメノス像として知られる3体の彫刻のなかで最も保存状態がよいものです。

 

この像は紀元前2世紀から1世紀頃に制作されました。制作者はわかりませんが、この像の完成度からすると、高い技術を持った人間が制作したものと思われます。長年にわたる修復の過程で、アポクシュオメノス像の中から、木のかけら、果実の種、種ぬきオリーブが発見されています。この像が発見された場所には船が難破した形跡はないため、研究者は、このアポクシュオメノス像は、嵐の際にローマの商船が海に投げ入れたと考えていますが、その理由はいまだ不明です。

 

2007年に、アポクシュオメノス像は、EUの文化的遺産に対する賞であるヨーロッパノストラを受賞しました。

アポクシュオメノス像は、フィレンツェにあるメディチ宮、ロンドンの大英博物館、ロサンジェルスのJ・ポール・ゲティ美術館、パリのルーヴル美術館など、多くの博物館・美術館で展示されてきました。2016年には、ロシニュ島の、アポクシュオメノス博物館というこの像のために建設された新しい美術館に戻ってきています。

 

マヤ・コーチジャン(Maja Kocijan