南西から見たソールズベリー大聖堂 by John Constable - 1820年頃 - 25 x 30 cm 南西から見たソールズベリー大聖堂 by John Constable - 1820年頃 - 25 x 30 cm

南西から見たソールズベリー大聖堂

油彩スケッチ/カンヴァス • 25 x 30 cm
  • John Constable - June 11, 1776 - March 31, 1837 John Constable 1820年頃

ジョン・コンスタブル (1776–1837)は大器晩成型の画家でしたが、クロード・ロランやニコラ・プッサンといった古典主義の先人や、フランドルのルーベンス、オランダのロイスダールらの影響を受けながら、ロンドンのロイヤル・アカデミーで風景画の技法を身につけました。

彼の初期の作品には英国の画家ターナーの影響が見られますが、ドラマチックで、ロマン主義的な荒々しさに溢れたターナーの画風は陰鬱すぎるとして、徐々に距離を置くようになります。英国北部の湖水地方を題材にした作品のように、ターナーが描く絵には人の気配がなく、コンスタブルはそこに違和感を感じます。人がそこに住み、生活の日常があるような場所を描くことに慰めを見出したのです。当時はロマン主義的な風景画が流行していましたが、彼は家庭の日常に見られる平穏や、自然と調和した人々の暮らしに光を当てようとしました。 

コンスタブルはありのままの自然の姿が絵の構図を決めるという信念を持って、変わりゆく光の具合や、四季折々の風景、絶えず移ろいゆく自然に関心を寄せました。彼は言っています。「この世界の開闢以来、1日として同じ日はなく、同じ1時間もない。1本の樹に茂る葉も1枚1枚すべて異なる。」絵筆のタッチはゆったりと、快活で、自然に対する画家の姿勢が垣間見え、一瞬の姿を切り取るのは困難な、自然の変幻自在さを感じさせます。目の前の風景の1週間後の姿は、画家の目にはまったく違うものに映ったことでしょう。 

コンスタブルは1811年に初めてソールズベリーを訪れ、後に同地の司教になる友人ジョン・フィッシャーと共に過ごしました。この絵からは、画家がこの地を愛したことが伝わってきます。愛情をこめて描かれた牧歌的な風景の中に大聖堂が建ち、牛は夏の陽の中で物憂げに草を食み、樹々は緑豊かに繁茂しています。大聖堂は堂々とした威容を誇っていますが、コンスタブルが感じたであろう心地いい親密さが伝わってきます。 長い旅路の末に我が家に戻ってきたときに抱くような癒しと安心感に溢れた作品です。

- Sarah Mills

P.S. クロード・モネも大聖堂に魅せられた画家です。モネが描いたルーアンの大聖堂はこちら