2人のレイ売り by Madge Tennent - 1936年 - 96cm x 146cm 2人のレイ売り by Madge Tennent - 1936年 - 96cm x 146cm

2人のレイ売り

油彩/カンヴァス • 96cm x 146cm
  • Madge Tennent - June 22, 1889 - February 5, 1972 Madge Tennent 1936年

マッジ・テネントは特定の個人ではなく、類型化された人物をよく描きました。花で身を飾った花嫁、ウクレレをかき鳴らすミュージシャン、陽光降り注ぐ街をそぞろ歩くオシャレな女性。ハワイの人々の特徴を表現するために、彼女はホノルルで暮らす人たちだけでなく、衰退しつつあった部族領を統一し、国際的にも認められた王国を創り上げた王族の女性たちからもインスピレーションを得ていました。

柔らかなトーンのこの油彩画には、色鮮やかな熱帯の花々を、今日まで受け継がれている美しくもかぐわしい首飾りに編み上げている1組のレイ売りの姿が描かれています。色彩と線で縁取られた二人は異界に漂っているようで、ハワイを取り巻く社会政治的な変化には関心を示さず、伝統工芸に熱中しています。美術評論家のスーザン=F=イムは、1996年のニューヨーク・タイムズ紙にこの作品を賞賛する記事を載せ、テネントが描く偶像的なワーヒーニ(訳注:ポリネシアの女性)は、「可愛らしくてスレンダーなポリネシアの少女の理想像とはかけ離れていて、まぶたのぽってりした目に厚い唇、大きくても繊細な指を持っている」と書いています。観光パンフレットに載っているような、観光客慣れして作り物のようなフラの売り子と違って、このレイ売りは肉体的な活力と精神的な平穏の均衡が保たれています。マッジ・テネントが見透かしたように、ハワイの女性は静けさの中に力強さがあり、とりわけ優雅で、伝統を重んじているのです。

『2人のレイ売り』は、1937年にヨーロッパとアメリカ本土で開催されたテネントの個展に出品された大判の作品の1点です。個展は各地で好評を博し、テネントの地位を確固たるものにしました。彼女の画業が、20世紀のハワイアン・アートに与えることになる偉大なる功績の前触れとなったのです。

今日の作品は、アイザックス・アート・センターの協力で紹介しました。

P.S. この絵を見ると南国の島に行きたくなります。画家たちが愛した旅の目的地を、その作品を通してご覧ください。