リリー・エルベの肖像 by Gerda Wegener - 1928年 - 76.2 x 53.8 cm リリー・エルベの肖像 by Gerda Wegener - 1928年 - 76.2 x 53.8 cm

リリー・エルベの肖像

水彩 • 76.2 x 53.8 cm
  • Gerda Wegener - 15 March 1886 - 28 July 1940 Gerda Wegener 1928年

ゲルダ・ヴィーグナー(1886–1940)はデンマーク出身のアール・ヌーヴォー、アール・デコのイラストレーター、画家。デンマーク王立美術院で教育を受けるためにコペンハーゲンに移り住み、そこで画家アイナー・ヴィーグナー、後のリリー・エルベと出会いました。1904年に結婚した二人は、1912年にパリに転居します。ファッションが好きだったゲルダは、『ヴォーグ』や『ラ・ヴィ・パリジェンヌ』などの雑誌で画家、イラストレータとしての職を得ます。パリで成功したゲルダでしたが、故郷デンマークでは、作品が論争を呼ぶものと見なされて、あまり人気を得られませんでした。

当時アイナーは、ゲルダよりも才能のある画家と見なされていましたが、妻の画業を支えるために自らの制作活動は控えるようになります。女物の服を着てゲルダのモデルを務めたアイナーは、やがてリリー・エルベと名のり、妻のお気に入りのモデルになりました。ゲルダは、周囲にはリリーを夫の姉妹だと紹介していました。1930年、世界初の性別適合手術を受けたリリーは、世間の大きな注目を浴びますが、ゲルダは性転換の過程にあるパートナーを力を尽くして支え続けました。手術の年には、デンマーク国王によって二人の婚姻の無効が言い渡されています。

リリー・エルベとゲルダ・ヴィーグナーの生涯は、デヴィッド・エバーショフのベストセラー小説『The Danish Girl』の題材となり、後にトム・フーパー監督により同名のタイトル(訳注:邦題『リリーのすべて』)で映画化されました。今日の作品は、ウェルカム・コレクションの所蔵。ヨーロピアナ(Europeana)の協力で紹介しました。ヨーロッパ各地の数奇な物語や文化遺産についてもっと知りたい方は、ヨーロピアナのウェブサイトをご覧ください。

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