北方ルネサンスの巨匠アルブレヒト・デューラーは、1526年の今日、ドイツのニュルンベルクでこの世を去りました。デューラーは、才能豊かな画家、製図工、作家という顔を持っていましたが、その才能が芽生え、おそらく最も開花したのは版画でした。今日は、後に版画と絵画に転化されることになるドローイングの1点をご紹介します。
ご覧の通り、画家は入念な下準備を重ねて、古代ギリシア・ローマの作法通りに均整の取れたアダムとイヴの姿を描いた版画を完成させました。この作品には、習作制作過程の複雑さが表れています。それぞれにアダムとイヴを描いた2枚の紙をつなぎ合わせ、更に二人が適度な距離を保つように、縦長の3枚目の紙を真ん中に配置。そして、全体の構図に統一感を持たせるために、茶色のウォッシュを施しています。版画のために制作された多くのドローイングの内、この作品には唯一男女両方が描かれています。アダムとイヴそれぞれに、エデンの園を追放される原因となった誘惑の象徴であるリンゴを持たせることで、デューラーは構図の問題を解決しようと試みたようです。完成版の版画では、イヴの手にだけリンゴを持たせています。
P.S. アダムとイヴの絵で知られる、もう一人のルネサンスの巨匠ルーカス・クラーナハ。クラーナハの作品で、7つの間違いさがしをやってみませんか。こちらでどうぞ!