とても罪悪感を感じています。つい最近まで私は、スペインの画家、フランシスコ・ゴヤが何作もの素晴らしい肖像画を描いたことを、はっきり分かっていませんでした。これを見てください。目を奪われてしまいます!
この半身の肖像画に描かれているのは、典型的なスペインの服装の白いシャツと黒のマンティラ(訳注:伝統的なスペインのショール)を身に着けた若い女性。彼女の“マハ”、いわゆる伊達女の服装にも関わらず、布地の豊かさや淑やかな姿は、貴族のような優雅さを絵に与えています。というのも当時、スペインの裕福な“ファッションピープル”たちは、下層階級の都会の洒落男の装いや、それに相当する婦人の服を着ることがよくありました。ゴヤの有名な「着衣のマハ」にも見られます。DailyArtのアーカイブでぜひご確認を。ゴヤの「マハ」には服を着ていないバージョンもありますが、そちらもアーカイブでご覧になれます ;)
カンヴァスの裏の署名によると、このモデルはドーニャ・イザベル・デ・ポルセールです。ゴヤは1805年、マドリードの王立美術アカデミーでドーニャ・イザベルの肖像画を展示しましたが、それは彼が、彼女の夫の肖像画を描く1年前のことでした。1980年、保存処置中にこの絵のX線画像が作られたとき、思いがけず、もう1つの肖像画が下に見つかりました。ドーニャ・イザベルの顎のあたりの暗いカーブと、右袖の下のジャケットの筋がお分かりになるでしょう。
この絵は素晴らしいセンスで描かれ、長い間、ゴヤの最もまばゆい肖像画の1つだとされていましたが、最近になって、本当にゴヤの作なのかという疑惑が投げかけられています。
P.S. こちらはゴヤの隠された秘密を暴く、ミステリアスな“黒い絵”について...