ヘラクレスとレルネのヒュドラ by Gustave Moreau - 1875/76年 - 179.3 × 154 cm ヘラクレスとレルネのヒュドラ by Gustave Moreau - 1875/76年 - 179.3 × 154 cm

ヘラクレスとレルネのヒュドラ

油彩/カンヴァス • 179.3 × 154 cm
  • Gustave Moreau - April 6, 1826 - April 18, 1898 Gustave Moreau 1875/76年

奇抜で風変わりなものに魅せられ、歴史や神話、神秘主義が入り混じった独特の幻想世界を描いたギュスターヴ・モロー。彼は、ロマン主義の伝統に根ざし、物質世界の現実の記録ではなく、人間存在の永遠の謎を表現することに力を注ぎました。

ヘラクレスの神話に長く魅了されていたモローは、この『ヘラクレスとレルネのヒュルダ』の画面いっぱいにその豊かな想像力を解き放っています。茶色の絵具で描かれた原初を思わせる泥土から鎌首をもたげているのは、7つの頭を持つ蛇の怪物ヒュドラ。沼地のそこかしこには、怪物の犠牲となって死にゆく者や死者が横たわっています。惨劇の只中に落ち着き払って立つ若きヘラクレスは、手に武器を持ち、今まさにヒュドラの7番目の「不死身の」首を切り落とし、葬り去ろうとしています。 

モローは、この神話画で当時の政治的懸念を表そうとしたようです。画家は、1871年にフランスがプロイセンに対して屈辱的な軍事的敗北を喫したことに深く心を痛めていました。ヘラクレスがフランスを、ヒュドラがプロイセンを象徴しているかどうかに関わらず、この傑作は、善と悪、光と闇の倫理上の戦いを、激しく、力強く描いているのです。

素敵な月曜日をお過ごしください。

P.S. 神秘的な象徴主義の絵画に描かれた、神話の世界のファム・ファタール(魔性の女)は、こちらをご覧ください!