私はジョン・シンガー・サージェントの作品が大好きです!サージェントは、王室や社交界の人々だけでなく、市井の人々を気品のある軽快さで描いたアメリカ出身の画家。ヴィクトリア朝末期に人気肖像画家に名を連ねましたが、絵のモデルとなった著名人の気まぐれや虚栄心にだんだん嫌気が差すようになります。1909年までには伝統的な肖像画の制作を止め、より想像的な絵画の実験に軸足を移しました。
この作品に描かれているのは、サージェントの姪、ローズマリー・オーモンド。形式ばらない人物描写への傾倒が見られ、伝統的な肖像画ではなく、詩的な空想にふける、物憂げな無名の人物としてローズマリーを描いています。哀愁を帯びた静けさと曇りのない贅沢さに満ちた雰囲気の中で、何気なくポーズをとって横たわる女性は、この作品の元々のタイトルである無関心の典型のようです。サージェントは、『休息』に見られるような、上品な優雅さへの耽溺が余韻のように漂う世紀末のムードを描くことで、一つの時代の終わりを記録しようとしたのかもしれません。やがてその時代の空気は、20世紀初頭の政治的、社会的な騒乱の大きなうねりに押し流されていくことになるのです。
P.S. サージェントが描いたイタリアのカプリ島の美しい情景をご覧ください。