ブリュッセルの有力な前衛芸術グループ「20人展」の創設メンバーの一人、テオ・ファン・レイセルベルヘは、ベルギーに新印象派を紹介する上で中心的な役割を果たしました。科学的な色彩理論と、ジョルジュ・スーラやポール・シニャックらのフランスの画家の点描技法から影響を受けましたが、より叙情的で独特の雰囲気がある手法を確立し、その作品には象徴主義にも連なる瞑想的な感性が息づいています。
画家の故郷アントワープ近郊を流れるスヘルデ川は、1890年代初頭に彼が描いた水景画の多くのインスピレーションの源。この作品では、鮮やかな黄色、オレンジ色、ラベンダー色、淡いブルーなどの色数を抑えた色調が、平凡な川辺の情景を、光と情緒を巡る詩的な瞑想へと昇華させています。係船柱と、それが水面に映える様子が織りなす縦方向のリズムが、静かな川面の向こうに視線を誘い、画面全体に非常に瞑想的な雰囲気を与えています。
この作品から垣間見えるのは、レイセルベルヘが同時代の画家たちと対話を交わす様子。高い位置に描かれた水平線と水面への反射は、ベルギーの画家たちによく知られていたジェームズ・マクニール・ホイッスラーの夜景画を思わせ、画面空間の緻密な構成からは、スーラの有名な海岸風景画に対する意識がうかがえます。
素敵な8月をお過ごしください!
P.S. 穏やかな水面とそこに映る景色、そして移ろう光は、海、船、海岸ポストカード50枚セットでも見られます。情緒あふれる海と川の風景が満載ですよ。
P.P.S. 点描主義の風景画の傑作をご覧ください!