ディオメーデスの馬は またの名をトラキアの馬といい、ギリシャ神話の人喰い馬です。大きくて野生的、そして手懐けるのが難しいこの馬の飼い主は、黒海の浜辺に住むアレースとキュレネの息子でトラキアの王、ディオメーデスです。
ディオメーデスの人喰い馬を手に入れてミケーネのエウリュステレスの元に戻したのは、ヘラクレスの従者の一人でした。彼は戦でディオメーデスを殺し、飼い主であるディオメーデスの遺骸を飼っていた馬に与えたのです。
モローの絵では、背後の2本の柱の間から覗き見ているヘラクレスの姿と、ディオメーデスの細い体を食いちぎる4頭の野生馬が描かれています。茶色い馬は腕にガッチリと歯を食い込ませ、他の馬は足に齧り付いています。右側にあるのはこれまでの犠牲者の体。血に染まった水の上に積み上げられています。
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