雲と水

この魅惑的な海の風景を描いた絵は、《雲と水》と題されていますが、風が主題になっています。風が吹いているということは、空を区切る大胆な灰色の線が示唆しており、その効果は、キャンバスの半分以上を満たしている広い空間をたなびく、うねるような雲の中に見て取れます。水に浮かぶ大きな葉っぱのように、3つの帆船だけが大波の上に見て取れます。

描かれた光景はエネルギーに満ちています――鑑賞者の耳には、今にも風が吹きすさぶ音が聞こえてくるようです。一方で、茶色と緑色で描かれた丸みを帯びた丘と丘を区切ったり、アクアマリン色の海のたくさんの影の輪郭を描いたりしている暗い色の線は、ステンドグラスのような効果をもたらしており、時間が止まったかのように見せています。

アーサー・ダヴは、アメリカのモダニズムのパイオニアであり、おそらくアメリカで最初の抽象画家であろうと言われています。ダヴは地方の風景と自然の環境を好み、対象の要素を主観に至るまで剥ぎ取ることで、形と色彩を通して自然の精神的な本質を捉えました。ダヴは自らの作品を、ジョン・マリン、マースデン・ハートレー、ジョージア・オキーフと共に、著名な写真家アルフレッド・スティーグリッツが開設した、かの有名な291ギャラリーで展示を行いました。

この絵は、ダヴとその連れ (後の妻) であるヘレン・“レッズ”・トールが、ヨットクラブの世話人として、ニューヨーク州ロングアイランドで冬を過ごした際に描かれたものです。水面の上に直にいたことで、ダヴは移り変わる空と海、そして自然の刹那的な力に対する風景の反応を直接目にすることができました。

- Martina Koegan

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