千夜一夜物語 by Vittorio Zecchin - 1914年 - 58 x 65 cm 千夜一夜物語 by Vittorio Zecchin - 1914年 - 58 x 65 cm

千夜一夜物語

テンペラ/板 • 58 x 65 cm
  • Vittorio Zecchin - May 21, 1878 - April 15, 1947 Vittorio Zecchin 1914年

今日紹介するヴィットーリオ・ゼッチンは、20世紀のイタリアン・ガラス工芸の重要な作家。イタリアの現代ガラス芸術の先駆者とされています。ゼッチンはガラス・デザイナーでありながら、画家であり、タペストリー作家、家具デザイナーでもありました。今日紹介するのは、リド・ディ・ヴェネツィアのテルミナス・ホテルのオーナーからの注文で制作した「千夜一夜物語」の一部で、ゼッチンの代表作の一つ。 

残念なことに、テルミナス・ホテルは第二次世界大戦中の爆撃の犠牲となって現存しませんが、そこにあった貴重な絵画は保護されて、一部は現在、ヴェネツィアのカ・ペーザロ国際現代美術館に収蔵されています。

ゼッチンの芸術スタイルは、グスタフ・クリムトの鮮やかな多色装飾と、ヤン・トーロップの作品に見られる本質的直線性から影響を受けています。この二つの融合によって、とりわけ複雑で多彩な細部に顕著な、生き生きとした色彩の強さと細密な描写を特徴とする独自の視覚言語が生まれたのです。ゼッチンは、「ムリーナ」技法(ヴェネツィアのラグーンに浮かぶ有名なムラーノ島出身のガラス職人特有の技術)を作品に巧みに取り入れることで、独特のテイストを創造しました。ケイン(ガラスの棒)を細い断面に切った時に表出する、色のついた模様やイメージも、その一部です。

この作品は、ゼッチンの色彩と技巧の粋を集めた、絵付けムラーノ・ガラスでできた壮大なモザイク画とも言えます。

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P.S. ヴィットーリオ・ゼッチンは、グスタフ・クリムトの芸術から刺激を受けました。クリムトの傑作をじっくり見てみましょう!アールヌーボーの芸術家については、下記のコラムをご覧ください。