人生の庭のメランコリー by Mathis Gerung - 1558年 - 88 x 68 cm 人生の庭のメランコリー by Mathis Gerung - 1558年 - 88 x 68 cm

人生の庭のメランコリー

油彩・テンペラ/板 • 88 x 68 cm
  • Mathis Gerung - c. 1500 - 1570 Mathis Gerung 1558年

人生や人間性、世界の動きに関する道徳的な洞察は、学問的な示唆や教訓的な寓話といった形で表現されることがあります。今日紹介するマティス・ゲルングの作品も、このような表現描写にあふれています。ここではメランコリーの象徴は、怠惰で、浪費癖がある淫らな有翼の人物として描かれており、デューラーの1514年制作の傑作(訳注:『メランコリアⅠ』)とはあらゆる点で対極を成しています。 小さな断片で構成された広大な世界の中心に座る女性。様々な競技が行われ、あらゆる階層の人々が賭け事や売春といった享楽に溺れる一方で、農民は土地を耕し、鉱山で働く労働者もいます。四季が同時に進行する中で戦争と平和が共存し、朽ちていく要塞の隣では新しい建物が建設中です。

これらはすべて、絵の上端に擬人化されて描かれている太陽、月、火星の影響下にあります。メランコリー気質を司り、知識の追究を象徴する惑星である土星は、絵の下端で地球儀を持たない小さな幾何学者の姿で表現されています。この絵に描かれているのは、存在の全体性とそのはかなさ。人類は、より高次元の、宇宙的で形而上学的な力に従属しているということを訴えているのです。

今日の作品は、カールスルーエ州立美術館の協力で紹介しました。