ソルウェーの殉教者

マーガレット・ウィルソンは、スコットランドのウィグタウン出身の、うら若きカヴェナンターでした。ジェームズ7世 (イングランド王ジェームズ2世) を教会の長とする宣誓を拒絶したがために、彼女は溺死刑に処せられることとなったのです。彼女と共に、信徒マーガレット・マクラクランも亡くなっています。2人のマーガレットは「ウィグタウンの殉教者」としても知られています。

10代だったマーガレットはソルウェー湾の杭に縛りつけられ、潮が少しずつ満ちて溺れ死ぬまで放置されました。この絵には、ミレイの晩年の作風である緩やかで特徴的な筆遣いが用いられており、ラファエル前派であった時の鋭い焦点の当て方とはかなり異なっています。興味深いことに、現在のこの絵ではマーガレットは胸元が空いたブラウスを着ていますが、保存修復師がX線にかけたところ、元々は右側を鋭い目線で見ているヌードとして描かれていたことが分かりました。